ようこそ、こんにちは。中年マト子です。
世間で「断捨離(だんしゃり)」という言葉を見聞きするようになって、ずいぶん経ちますね。
「不要なものを思い切って捨てる」みたいなイメージでしょうか。また物だけに限らず、人間関係などにも広く使われている言葉です。
かく言う私も、じつは2年ほど前から断捨離をしています。
きっかけは、片付けてもすぐ散らかってしまう一人暮らしの部屋に、心底うんざりしたからでした。
ストイックでも何でもない私が「とにかくギリまで捨てる」という曖昧なイメージだけで始めた、断捨離。
いざやってみると、それは思ってたよりずっと深く、実りの多い体験でした。
大げさに聞こえるかもしれませんが、私は断捨離をしたことで迷いが減り、考え方や人生までシンプルになった気がしています。
「部屋が散らかりがち」「片付けが億劫」「収納が足りない」そんな方にはもちろん、「興味はあるけど、捨てて後悔するかも…」そんな不安がある方にも、私の体験談をひとつの参考にしてもらえたら幸いです。
――と、その前に。
そもそも「断捨離」ってどこからきた言葉で、本来どういった内容なんでしょう?
この機会に少し調べてみました。
「断捨離(だんしゃり)」とは?
Wikipediaによると、「断捨離(だんしゃり)」はもともとヨーガ(いわゆるヨガ)の思想からきている言葉で、日本では作家のやましたひでこ氏が日常の整理術に応用して、世間に広めたそうです。
断・捨・離。この3つの漢字は、「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」という3つの修行を表しています。
断:新たに手に入りそうな不要なものを「断」つ
捨:家にずっとある不要な物を「捨」てる
離:物への執着から「離」れる
不要な物を「断ち」「捨て」、物への執着から「離れる」ことにより、身軽で快適な生活と人生を手に入れようとする思想とのこと。
これらは単なる片付けとは違い、自分の内面や価値観にも向き合う行為とされています。
いかにも深そうな「断捨離」という言葉ですが、やはり奥深い思想の上で成り立っている修行だったんですね。
今の今までそれを知らなかった私ですが、まさに私が断捨離を通じて体験したことは「自分の内面や価値観に向き合う行為」そのもの。
きちんとした知識がなくても同じように辿りつくものなんだと、不思議な気持ちで驚いています。
キッカケは「発想の転換」
もともと私は物が多く、ごちゃごちゃした部屋に住んでいました。
部屋がキレイになると気持ち良いという感覚はあるので、がんばって片付けもするのですが、キレイな状態をキープできずにまたすぐ散らかって、また気合いを入れて片付けて…の繰り返し。
片付けにかける労力や時間が大きい割には、部屋がスッキリ片付いている日が少なくて、そんな自分にも落ち込んで正直しんどかったです。
どこか落ち着かない、心地よくない部屋でした。
そしてある日、とうとう限界を迎えました。
「ええい、物があるから散らかるんだ!物がなかったら散らかりようがない!あれもこれも捨ててやるー!」
と自暴自棄に近い形で、いきなり吹っ切れたんです笑
それまでは「どうしたら楽に片付くか」とか「散らかさない習慣」みたいなことばかり考えていたのが、「物を減らすことで片付けない」という発想にうまく転換した瞬間でした。
手放すことは、勇気がいること
こうして「全部捨ててやるー!」という勢いに任せてスタートした、私の断捨離。
部屋を見渡してみると、すぐに目についたのが本棚の一角に飾っている小さな置き物たち。ミニカーやフィギュア、置き時計など、どれもずいぶん前に気に入って買ったものです。
その置き物たちは、すっかり風景の一部になっていて「捨てる」という発想にもならずに今日まで来たものでした。
でも改めて「そんな長く持ち続けるほど大切なものか?」と考えたら、答えはNo。
愛着はあるものの、特別に大切だと言えるような理由はなく「なんとなく」気に入って買って、「なんとなく」そのまま置き続けていたものだったと気付きました。
じゃあそれでポイッと捨てられたかというと、なかなかそうはいきません。
長年、慣れ親しんだ物だからか、今度は捨てることへの罪悪感がふつふつと湧いてきました。
私は捨てられない性格という訳ではありませんが、やろうとしてることは自分の生活を見直すことです。今までの「当たり前」や「なんとなく」をやめて、生活を変えること。
「断捨離って思ったより勇気が必要なのかも…」と、このとき実感しました。
いざ捨てるときには、「長い間ありがとう」と心の中で繰り返して、気持ちの区切りを付けました。
ぽっかり空いたスペースを眺めて、寂しいのとスッキリした気分が混ざって複雑でしたが、捨てるという選択には納得してたので、これで良かったんだと思えました。
もしここで気持ちの整理がつきにくい方は、フリマサイトなどで売る=必要な人に譲る、という考え方で試してみるのも良いかもしれません。
ただ、迷いがあるうちは無理しないで欲しいです。自分できちんと納得しないまま処分して後悔するのは避けたいですもんね。
また家族であっても、断捨離という名目で人の大切な物を勝手に処分することは、相手を傷つけるだけです。対象は自分の物だけに留めるようお気を付け下さい。
断捨離を続けて見えてきたもの
私が断捨離をはじめて約2年。
一気に捨てるのではなく、週末に引き出しひとつだけを見直すぐらいのペースで、ゆっくりと続けてきました。
捨てる物がだんだん減ってくると、最初の選別で残った物も、改めて見直すようになります。
一巡目でざっくり捨て、二巡目でさらに精査していく感じです。二巡目が終わったら、三巡目。
繰り返すほど、より真剣に悩むようになりました。
だって対象となるのは、何度も「残す」という選択をした物ばかり。そりゃあ悩みます。
でも今になって思えば、そのプロセスがとても大事で、
「私にとって本当に大切なものって何だろう?」
「その大切な理由って何だろう?」
「どんな基準でそう思うんだろう?」
そんなことを繰り返し自分に問いかけることで、自分の中にある価値観が自然と見えてくるようになりました。
価値基準がはっきりしてくると、今度は新しく物を買うときにも、その基準で選別できるようになってきます。
そして、いかに自分が今まで「なんとなく」とか「とりあえず」で物を買っていたか自覚できました。
買い物をすること自体は悪いことではありません。
でも、買うときに「これは私にとって必需品なのか?それとも贅沢品なのか?」ということが、ちゃんと分かるようになったんです。
自分にこんな感覚が身につくなんて、勢いで断捨離を始めたときには考えてもなかったことです。
この変化を実感したときは、思わず
「お、おぉ~!!」と感動したことを覚えています。
部屋も人生もシンプルに
ちなみに私が断捨離で残した物でいうと、社会人になってから色んな人に貰った手紙やメッセージがあります。
落ち込んだときに何度も読み返しては、そのたび勇気づけられてきました。周囲の人への感謝で心が洗われる、これからも大切にしたい物のひとつです。
そして私の部屋は、今ではすっかり物も減り、片付けに苦労することもなくなりました。
決して広くない部屋ですが、物が少ないおかげで広々と過ごせています。厳選したお気に入りの家具や物に囲まれて、自分の部屋がとても居心地の良い空間になりました。
冒頭にもいいましたが、私は断捨離を通じて迷いが減り、人生までシンプルになった気がしています。
自分の価値観を知ることで、潔くなり、日々の心も軽くなりました。
これは!と思えるほどやってみて良かったことって案外少ないんですが、断捨離はその数少ないことのひとつです。
あなたの部屋にずっとある「それ」は、本当に必要なものですか?
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